=無意識=








「相変わらずそうだな、ヒバリ」
「君もね、赤ん坊」
 ああ、でも君は昔の赤ん坊だったね。
 久々の再会に、昔から意気投合していたリボーンと雲雀は軽く挨拶を交わす。
 横でちょっと面白くないなと思うのは綱吉だ。
 何かというとこの家庭教師は雲雀に声をかける。彼の実力はそれこそ本物であるし、自分をそれを疑った事はない。
 ただ一つ、あえて言うならリボーンは読心術を心得ているし、自分はそうではない。だから、自分にはまだこの家庭教師の考えている事の全ては分からない。

 だから、不安になるのは当たり前だと思う。

「それにしても面白いものを着てるね」
 雲雀がリボーンに触れる、ほんの一瞬。
 家庭教師が座っていた場所から忽然と姿が消え、それまで下を向いていた雲雀が顔を上げると―――。
「……やっぱり君も相変わらずだね」
 沢田綱吉。
 名前を呼ばれただけなのに、全身が金縛りにあったようにがちがちだ。まさに蛇と蛙状態ではないか。
 それでもこの腕の中にある存在を離すつもりはなかった。

 刹那、躊躇うことなく綱吉はリボーンを抱え上げていた。
 なぜと聞かれてもきっとろくな応えは返せない。ただこのままだと自分の家庭教師がどこかにいってしまうような気がした。
 もう家庭教師じゃなくなるかもしれない。
 それはとても飛躍した思考であり、相手の心情が読めないことからくる強い不安感が更に助長させている事は間違いなかった。
 後悔先に立たず。いやでも後悔してるわけじゃないか……。
「え、えーと……」
「やっぱり君は沢田綱吉だね」
 がつん、と顔に一発喰らって綱吉も思わずリボーンを手放していた。
「いってーっ!!」
「僕の目の前で群れるなって言っただろ。つまんない。僕は一抜けさせてもらうよ」
 ふん、とそっぽを向くと雲雀は部屋を出て行ってしまった。
「あいたたた……」
「何やってんだダメツナ」
「煩いな…」
 口を尖らせて不満の顔を見せる綱吉に、リボーンはにやりと笑って見せるだけだった。
 無意識に求められるなんて、こんなこそばゆくて幸せな事はない。
「ほら、行くぞツナ」
 何時だって自分はその大切な存在の傍らにいるというのに。
 不安を感じる綱吉がリボーンをその胸に捕まえようとする。
 今はそれでいい。

 それだけで己の存在意義は大きくなるというものだ。








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たぶん連載読んで突発的に書いたんです。
雲雀への恐怖よりもりぼたんへの独占欲の方が強いんだよ、ていうそれだけ。