=GAME=








 綱吉は一人で遊ぶ事が多かったためか、室内での遊びにはとことん強い。
 いわゆる家庭用ゲームという奴だ。
「今日母さんに新作買って貰ったんだ」
「お、すげぇ! 俺もやってみたかったんだ」
「今日うち来る?」
 カレンダーで見れば本日は土曜日で学校は休みの日なのだが、授業数が足りないとかで登校日になってしまい、それも終えて今は帰宅の途についているところだ。
 野球馬鹿と思えた山本が意外にもゲーム好きなのを知った綱吉はよく山本を家に誘った。ちなみに獄寺に対しては誘った事が一度もないのだが、なぜかと問われれば山本が来ると言った時点で必ずついてくるのが獄寺なのである。
「十代目! 俺も行きます!」
「うん、そう思って母さんにはみんなのおやつも用意してもらってるんだ」
「やりぃっ」
「いつもすんません!」
 こんないつもどおりな会話を交わしているうちに沢田家に帰り着く。


   ゲームを始めてから1時間ほどたっただろうか。
 山本と獄寺が対戦型で熱中している間、綱吉は台所にてジュースのお代わり分を注いでおくことにし、台所まで下りてきていた。さっきまで見えていた黒尽くめの赤ん坊の姿はない。
 それにしても今日は面白いものを見た、と綱吉は思う。
「どっかでふてくされてんのかなぁ」
 まさかあいつがね、などと言いながらも先ほどの光景を思い出し、思わず笑みがこぼれてしまう。

――ねえ、リボーンもやってみる?
――またくだらねぇもんばっかやってんじゃねぇぞ、ダメツナ。
――まあまあそう言わずに。面白いんだよ。
――でもよお、ツナ。
――なに、山本。
――コイツには無理じゃねぇ?
――そうですね……。
――え、何で? リボーンだったら何でもできそうじゃない?
――いや、でもなぁ……
――さすがに……

 コントローラーは握れなくない(です)か?

 山本と獄寺がしっかりとハモッて同じことを言ったときには本当に笑い転げてしまった。
 この時に彼に撃たれなかったことは奇跡だったと振り返ってしみじみ思う。
 ふいと顔をそらし何も言わずに家庭教師は部屋を出て行ってしまった。
 ちょっと悪い事をしたなぁと思いながらも彼の心情を察するに、笑みがこぼれて仕方がない。

 あの家庭教師にも子供なりの感情があるんだぁ、なんて、言えば間違いなく半殺しの目にあうだろう。
 このことは自分の記憶のアルバムにだけしまいこんでおくことにした。


 数年後、赤ん坊でなくなった家庭教師から再三ゲームによる勝負が申し込まれるようになるとは、全く持って計算外である。
「今日は一日オフだってな。勝負しろダメツナ!!」
「また!? 頼むよリボーン! 今日だけは休ませて!」
 俺休む時間もナシですか!?
 ドンとして多忙な日々を送る綱吉の悲鳴が、今日もシチリアの地に木霊する。




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自分がゲーム三昧なんでこんなネタ。
ほんとにすんません☆