=碌 で な し=








「責任取ってくださいよ」
「なんのことだ?」

 黒の教団の一室。
 クロスに割り当てられた部屋に押し掛けたアレンは何の前置きもなく冒頭のセリフを吐いた。
 それに対してクロスが聞き返したのは心当たりがなかったからではない。心当たりがありすぎてどれのことかわからなかったからだ。
 とはいえ、何を言われたところで済まなく思うことはないのがクロスという男だが。

「ラビが黒いって言うんです」
「はぁ?聞いて欲しいんなら分かるように話せ」

 一応は聞くようなセリフを吐いたがアレンの方にはチラとも顔を向けない。グラスを満たしたワインを一息で空けて、次の瓶に手を伸ばす。
 普通に考えればその態度はとても人の話を聞くものではないが、クロスの場合はこれでいい方だ。都合が悪くなったらすぐに姿を消すのだから声が届く間にいるは聞く気があるのだ。
 ティムキャンピーがクロスの頭の上に納まって金色の尻尾を揺らす。

「僕のことを腹黒いっていうか、とにかく黒いって言うんです!でもイカサマもカワイコぶるのもお師匠といたから身につけざるを得なかったことで!・・・だから、責任取ってください!」

 詰め寄るアレンの顔は心なしか赤くなっている。
 支離滅裂な主張と合わせて考えると。

(酔ってんのか、バカ弟子が・・・)

 ティムキャンピーが落ちるのも構わずにクロスが酒を煽る。

「オレに責任を取れだと?いいだろう、取ってやる。だから、酒買ってこい」
「なんでそうなるんですか!?」
「責任とって、一生オレのバカ弟子としてこき使ってやるって言ってるんだ。満足だろ?」

 傲岸不遜に言い放つクロスにアレンは射殺しそうな視線を向ける。
 ラビなら逃げ出しそうな空気の中をティムキャンピーがパタパタと飛んで今度はアレンの頭の上に納まった。

「ティムを貸してやる。グズグズするな、早く買ってこい」

 余裕さえ感じさせるクロスの声はアレンが従うことを知っている。

「師匠のろくでなし!」

 捨てゼリフを残してアレンが部屋を去った後、帰ってきたアレンにどんなことをしてやろうかと考えながらクロスは酒を愉しんだ。






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お粗末様〜

ティムかわいいよね〜(by.滝山嬢)








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うっはあ! 滝山嬢から師アレSSを頂戴してしまった!
めっさ嬉しい! ありがとう、滝山嬢vvv
オーケーを貰ったのでサイトに上げさせてもらいました。サイト開設祝いだって。
こういうやりとりがとても楽しいですvv



2008.9.8